【要約・書評】鬼と日本人の深層心理|小松和彦『鬼と日本人』 – 古代から現代まで続く不気味な関係性

人文・思想
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  • 「鬼」は日本の文化や歴史において重要な役割を果たしてきたんだ。
  • 小松和彦 著『鬼と日本人』は、古代から現代までの鬼の表象を丹念に追い、日本人の心性や価値観を浮き彫りにする。
  • 本記事では、鬼のイメージの変遷、日本の民俗学、日本人論、そして現代社会における鬼の意味を探る。鬼を通して日本文化の深層に迫るこの本の魅力を徹底解説。

こんにちは!たろりすだよ!

今回は小松和彦さんの『鬼と日本人』という本を紹介するよ!

鬼は日本の文化や歴史の中で長い間重要な役割を果たしてきたんだ。その存在や意味は時代とともに大きく変化してきているんだって。古代から現代まで、鬼をめぐる物語や芸能、民俗などをじっくり考察したこの本は、日本人の心の奥底にある鬼へのイメージを見事に浮き彫りにしているよ!日本文化の神髄に迫るこの傑作を解剖していこう🔎

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『鬼と日本人』の3つの魅力

1. 鬼の多様性と変遷を丹念に追う

この本の魅力の一つは、古代から現代に至るまでの鬼の姿の多様性と、その変遷を丹念に追っているところだよ。

鬼の歴史を眺め渡してみると、姿かたちもかなり変化している。鎌倉時代の鬼の画像をみると、角がない鬼もいれば、牛や馬のかたちをした鬼もいるし、見ただけではとうてい鬼と判定できない異形の鬼もいることがわかる。

『鬼と日本人』

著者は文献や絵画資料を詳細に分析することで、時代によって鬼のイメージがいかに変化してきたかを浮き彫りにしているんだ。
鬼は必ずしも一様の存在ではなく、時代や地域によって実にさまざまな姿をとってきたんだね。

そこで驚くのが、鬼のイメージの多様さだよね。
角があったり牛や馬の姿をしてたり…時代によってこんなに違うなんて!
鬼は一つの姿に決まらない、不思議な存在だったんだね。

2. 鬼を通して見る日本人の心性

本書のもう一つの魅力は、鬼という存在を通して、日本人の心の奥底にある観念や価値観を明らかにしているところだね。

鬼とはなによりもまず怖ろしいものの象徴なのである。

(中略)

鬼は、人間に危害を加える邪悪な側面と人間の側に立って邪悪な者たちを追い払うという好ましい側面である。

『鬼と日本人』

鬼のイメージの変遷を追うことで、日本人の心のありように気づかされるんだ。
恐ろしい存在であると同時に、時に人を助ける存在でもあるところが、自然の脅威と恵みの両面性を感じてきた日本人の自然観や他者への想像力を反映してるのかも。

3. 現代に通じる鬼の意味を問う

そして本書の魅力は、古代から続く鬼の物語が、現代社会にも通じる示唆に富んでいることを明らかにしている点だよ。

日本で生まれ育ったならば、「鬼」という言葉を知らない者はいないだろう。その姿かたちも、すぐに頭のなかに想い浮かべることができるはずである。

(中略)

現在では、超自然的存在としての鬼の信仰は、ほとんど衰退したといっていい。しかし、鬼という語は、非人間的な行為とされるような、言い換えれば、鬼がするような行為や属性をもった者や事物に対しては、なお比喩的であるにせよ、衰えることなく用い続けられている。

『鬼と日本人』

古代の鬼の物語が、今の僕たちにも問いかけてくるってすごいよね。
今も日常会話で「鬼」って言葉を使うことがあるけど、その言葉の裏にある意味を問い直すきっかけになると思うな。古くから続く日本人の心のありようを浮かび上がらせているよね。

鬼から見えてくる日本人の原風景

本書を読んで、鬼の物語が日本人のアイデンティティの核心に迫ってるって感じたよ。

山や森に棲む神秘的な存在への畏れ、自然の恵みと脅威を同時に感じる心、秩序からの逸脱者への眼差し…。

そうした原初的な感覚が、「鬼」という言葉に凝縮されてるんだね。
しかも、鬼とは時に自分たちの鏡でもあるんだよね。
自分とは異なる者を「鬼」と呼ぶことで、日本人は自らのアイデンティティを形作ってきたのかも。
その意味で、鬼の物語は日本人の心の原風景そのものなのかもしれないな。

民俗社会の人々は、「富」は人間界の「外」から、つまり、神霊によって授けられるものだと考えていた。

(中略)

鬼とみなされた人々の諸属性が想像上の鬼のイメージ形成に作用し、それとは逆に、想像上の鬼のイメージが社会的存在としての鬼の諸属性やイメージを形成しているようなことがしばしば見られたのである。

『鬼と日本人』

鬼の物語は、山の幸や海の幸といった自然の恵みをもたらす一方で、時として人の子を攫ったり作物を荒らしたりもする、人智を超えた畏怖すべき存在の姿を僕たちに思い起こさせてくれるんだ。

そうした存在への恐れと崇拝の入り混じった感情が、日本人の心のありように深く刻まれ、さまざまな鬼の物語を生み出してきたのだと著者は指摘しているんだ。土地の精霊を鎮め、恵みをもたらす神々を祀る祭りや風習の数々も、こうした心性なくしては生まれえなかったんだろうね。

鬼とは相対的な概念であって、かりにここに二人の人間、二つの集団が存在したと仮定したならば、互いに相手もしくは相手の集団に対して、状況によっては「鬼」というラベルを貼り付けることができる、ということである。

『鬼と日本人』

また著者は、ある集団にとっての「鬼」が、別の集団にとっては崇拝すべき神となることもあったと指摘しているんだ。鬼の姿もまた一様ではなく、それを語る人の立場によって大きく異なることもあるんだね。

そこから浮かび上がってくるのは、絶対善でも絶対悪でもない、ある種の曖昧さや両義性を孕みながら、自然や他者とつながろうとしてきた日本人の心のありようが見えるんじゃないかな。

光と影、鬼が映す日本人の深層

じゃあ結局、日本人にとって鬼ってなんだったのか。
一言でいうと、日本人の心の光と影の両面を映し出す存在だったんじゃないかな。
理不尽な現実や抑圧への怒り、秩序からの解放願望。
そんな心の闇の部分が、鬼に投影されてきたのかもしれない。
でも同時に、鬼は僕たちの分身でもあるんだよね。
鬼を通して自分自身の心と向き合う。それが、日本人の心の古層なんじゃないかな。

本書の総合評価

本書は、古代から現代に至る鬼の表象の変遷を丹念に追うことで、日本人の心性の奥底を浮かび上がらせた野心作だね。

資料の博捜ぶりと考察の緻密さは特筆すべきものがあると思うよ。日本人論や民俗学の古典とも言うべき、柳田国男や折口信夫の例を踏まえつつ、独自の視点から斬新な解釈を提示している点は高く評価できる✨

ただし、網羅的な記述に徹するあまり、物語の核心に肉薄するまでには至っていない感も否めないかも。鬼の表象をめぐるさまざまなバリエーションを提示するだけでなく、そこから日本人の心性の本質を抽出し、現代的な意義を見出すところまで踏み込んでほしかったという思いがあるね。

とはいえ、日本人と鬼の関わりを文化史・精神史の視点から複眼的に考察したその試みは高く評価されるべきだと思う。

日本人のアイデンティティを根源から問い直すための、格好の材料を提供してくれる良書だと言えるね!

総合評価は★★★★☆(5つ星のうち4つ星)!

『鬼と日本人』の学びを日常に活かすヒント

さて、この本から学んだことを、日常にどう活かせばいいだろう。
僕なりのアイデアを3つ、シェアするね!

  1. 自分とは異なる価値観を「鬼」と決めつけない
    相手の主張が理解できない時こそ、なぜそう考えるのか想像力を働かせてみよう。思いがけない気づきが得られるはず!

充分だったとはいえないが、鬼をめぐってあれこれと思索を繰り返してきた末に、ふと私は思った。現代こそ実は「鬼」のような社会装置が必要なのではないか、と。

『鬼と日本人』
  1. 心の中の「鬼」と折り合いをつける
    みんな心のどこかに、理不尽な怒りや欲望を抱えているもの。それと正面から向き合う勇気を持とう。心の成長につながるよ。
  2. 時には「鬼」になる勇気を
    善悪のはっきりした判断が求められる時代だからこそ、誰かを鬼とみなすのは簡単だよね。でも本当に大切なのは、時には自分が「鬼」になる勇気じゃないかな。不気味な他者を引き受け、そのなかにも光を見出す想像力が必要だね。

本書が教えてくれるのは、「鬼」の本当の恐ろしさは、ただ排除したり退治したりするだけでは決して解消されない、ということ。むしろ鬼とは、僕たち自身の心の闇に潜む、もうひとりの自分の姿なのかもしれないね。

まとめ:鬼を通して自分と向き合う

『鬼と日本人』が問いかけているのは、自分自身の心の中の鬼と、どう向き合うかってことなんだろうね。
理不尽な怒りや欲望は、誰にでもある。でもそれを認めることから、自分を見つめ直すチャンスが生まれるんじゃないかな。
時には自分が「普通」から外れる勇気を持つこと。他者の、そして自分の心の「鬼」を引き受けること
そんな難しくも大切なことを、この本は教えてくれたんだと思う。

小松和彦さんの『鬼と日本人』、日本人の心の深層に、不気味なまでにリアルに迫ってくれる、刺激的な一冊だったよ
日本人のルーツと向き合いたい人、ぜひ読んでみてね。
きっと発見があるはずだよ。

心の鬼と出会う、スリリングな体験、してみない?

たろりす
たろりす

じゃあまたね〜✋

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